
近年、SNSを中心に特定のライフスタイルや趣味を共有する「界隈(かいわい)」という言葉をよく目にする機会が増えています。
その中でも特に今、Z世代の若者たちの間で徐々に浸透しているのが「#自然界隈」(しぜんかいわい)というハッシュタグです。
テーマパークや派手なアクティビティではなく、「自然を楽しむこと」を求める姿勢が広がっている状況は、現代の忙しさに疲れた社会のアンチテーゼのようにも感じられます。
この記事では、そんな「#自然界隈」に関する以下の内容について解説していきます。
- 「#自然界隈」とは何か?
- なぜZ世代が魅了されるのか?
- 自然と関わる価値観について
「#自然界隈」とは?
SNSを中心に広がる「自然好きコミュニティ」
「#自然界隈」とは、山や森、川辺や海などへ行って自然を楽しむ、そんな自然が好きな人たちのコミュニティを指すトレンドワードです。
Instagram(インスタグラム)では、「#自然界隈」を含む投稿が8.4万件以上(2025年11月30日時点)投稿されています。
その投稿内容は、美しい風景を撮影した写真、自然を背景に映る若者の画像、登山やキャンプなどの様子を映した動画などが多く見られました。
アウトドア体験だけではない?
「#自然界隈」の本質は、自然体験だけではありません。
Instagramの投稿には、アウトドアファッションのおすすめ紹介などのコンテンツもあり、アウトドアを通じた「ファッションセンスを披露する場」としてもとらえられています。
アースカラーやナチュラルファブリックといったオーガニックな雰囲気と、充実した機能性を持ったアウトドアファッションのカジュアルさが流行となっており、さらに自然は「ファッションを際立たせる背景」として非常に優れているため、SNS世代に共感を生んでいると考えられます。
Z世代が自然に惹かれる理由
情報過多時代のカウンターカルチャー
Z世代が自然に強く惹かれる背景には、現代社会における情報環境への反動があります。
街には様々な遊び場や商業施設があり、スマホからは毎日膨大な情報が流れてきます。また円安の影響でインバウンドが増加しており、都市部や観光地では電車やバスの中が人と荷物でいっぱいです。
そんな人と情報が身の回りに増えすぎた現代だからこそ、いわゆる「デジタルデトックス」のように強制的に情報を排除できたり、人が少なく静かで落ち着いた自然空間を求めているのです。
コスパの良さ
テーマパークで遊ぶのに比べて、友人たちとそれぞれ食材を持ち寄って川辺でBBQをする方がはるかに安価で楽しむことができます。
登山なども、無料で入山できる山へ行けば、交通費くらいしかお金がかかりませんが、それでも十分な満足感を得ることができます。
特にお金に余裕のない若者にとっては、この圧倒的なコストパフォーマンスの良さも、大きな魅力の一つとなっています。
参入のしやすさ
「#自然界隈」は、さまざまな活動を包括しているコミュニティです。
自前の道具を揃えてキャンプをするのも、山や森へ出かけて散策するのも、はたまた「自然っぽい」場所でエモい写真を撮るのも、すべて「#自然界隈」の活動です。
各々が楽しみたいレベルで、楽しみたいコンテンツで楽しむことができるので、気軽に界隈の仲間入りをすることができます。
必要な条件は「自然と関わっていること」だけです。
「#自然界隈」の広がりが示す、新しい自然との関わり方
自然はレジャーではなく、”日常の延長”へ
今、人々は精神的な健康と安らぎを求めて、日々の暮らしの中にできるだけ手軽に自然を取り入れようとしています。
たまの週末にちょっと遠出をしてキャンプをするのではなく、ふとした時に近場の癒しスポットへ休憩をしに行くような、そんな触れ合い方ができる自然がこれからどんどん求められるようになるのではないかと思います。
自然に触れることの生理的・社会的メリット
自然に触れることで、ストレスホルモンが減少したり、副交感神経が活性化されることで、リラックス効果をもたらし、心身のバランスが整います。
季節の移り変わりや細やかな変化に気づくことで、繊細で鋭敏な五感や豊かな感受性を養うことができます。
さらに、自然の中で家族や友人と過ごすことで、都会の刺激から離れた落ち着いたコミュニケーションを深めることもできるでしょう。
誰でもすぐに始められる、自然との小さな接点
生活の中に自然を取り入れるのはとても簡単です。
例えば観葉植物を育ててみるのも、入り口としては十分だと思います。
夜道にふと足を止めて、ゆっくり月を眺めてみるのもいいかもしれません。
難しく考えなくても「なんとなくそれっぽいな・・・」と思ったものはたいてい「自然」ではないかと思います。
まとめ
「#自然界隈」という言葉は、もっとゆっくり味わいたい──そんな価値観が形になったものだと感じます。
日常には人も情報もあふれていますが、自然の中では余計なものがそぎ落ち、自分の感覚が穏やかに戻っていくのを実感できます。
「#自然界隈」の広がりは、自然が本来もっと身近で自由な存在であることを、もう一度思い出させてくれているのだと思います。


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